よりよい恋愛を探す

「素晴らしい能力を持つが不遇の彼」と「できそこないで馬鹿な私」という構図がすっかり出来上がったころ、私は繰り返される理不尽に、すっかり飽きてしまいました。
別れよう、という言葉を切り札として振りかざし、私からの譲歩を引き出そうと、彼はたびたび申し出ました。それが、テレビの画面を通してみるように、だんだんと芝居くさく感じられ始めたのも、きっかけのひとつだったでしょう。
もう何度目かわからないほどの彼の申し出に頷き、彼が窓から捨てた私の鞄と携帯電話を拾いにドアを出たまま、最寄りの電車の駅へと向かいました。途中、何度も光る着信ランプが煩わしくなり、電源を落としました。その時、とても気分が良くなったのを覚えています。頭と肩にのしかかっていた、目に見えない物がふっと消えたようでした。空の青さ、道端に咲く花の色、髪を揺らす風にのって漂う水の匂いなどが、一度に私に押し寄せるようでした。
季節の移り変わりにも気がつかないほど、彼を「助ける」ことに夢中になっていたのだな、とやっと感じることができました。そして、安易に人の人生に踏み込むことの怖さを思い知りました。私の住む場所は知られていたので、まっすぐ帰るわけにはいきません。大きな駅に行き、全く知らない路線に乗ってしばらく電車に揺られていきました。知らない町並みを眺めながら、自分の幼さと愚かさをしみじみと噛みしめました。
その時の恋愛は、辛い経路をたどって残念な結果に終わってしまいました。年月も学歴も無駄にしてしまいましたが、悪いことばかりというわけではありませんでした。自分の愚かさを知り、性格上の欠点を見つけることが出来たのは、このような恋愛を通して得られた経験でした。
しばらく、男性が怖くなったりもしましたが、それでも恋愛は人を成長させてくれる素敵な栄養だとも、思えるようになりたいです。そして、次に恋愛する機会があれば、よりよい関係を常に作り続ける気概を持つことが、何より大切だと思いました。

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